n度目の夏の正体
紅閻魔が微小特異点「十王の審判を模した地獄」にレイシフトし手に入れた斎藤一の閻魔帳……。この閻魔帳こそが同人誌「n度目の夏」そのものだと言うが、果たしてどうしてそうなったのか?何度も繰り返し膨大なページ数になった斎藤一の閻魔帳の一部を公開することで、答えを見つけてほしい。
一度目の夏
文久三年(1863)壬生浪士組が会津藩預かりの組織となる。
新選組のはじまり。それぞれの誠を胸に秘め、幕末を駆け抜ける。
一度目の夏=初七日に行われる最初の裁判。秦広王によって「生前の殺生について」調べられる。不動明王に、死者が生前への未練を断ち、良い裁きがくだるよう祈りを捧げる。
――最初の一回目は驚いたようですね。人生をやり直せるとは思わなかったからでしょう。しかし何度も繰り返すうちに、「ここでどのような選択をしても、何も変わらない」ということを知った様子。受け答えがだんだんといい加減になっていったようですね。殺生については、必ず人斬りをされています。
出典:斎藤一の閻魔帳「秦広王の裁判記録」
――斎藤さんはとても生きる意志が強いですよね。いつも驚かされています。
出典:SNSホトケッター「不動明王のつぶやき」
二度目の夏
元治元年(1864)池田屋事件。
新選組が表舞台へ。
二度目の夏=二七日に行われる二度目の裁判。初江王によって「生前の盗みについて」調べられる。どんな人の願いも聞き入れてくれる釈迦如来に救いを求めて祈りを捧げる。
――生前の盗みはされている時もあれば、されていない時もありまして……。その都度、罪を閻魔帳に記載しましたよ。
出典:斎藤一の閻魔帳「初江王の裁判記録」
――池田屋に出動しなかった山南さんに恩賞金は支給されませんでしたけど、幹部ですからお金には困ってなかったはずです。それなのに、山南さんに六文銭に見立てて六枚の小判を渡すなんて、どうして思いついちゃったんですかね。救いを求めている感じはありますね。
出典:SNSホトケッター「釈迦如来のつぶやき」
三度目の夏
慶応元年(1865)里帰り、墓参り。
新選組結成以前からの仲間を失った、はじめての夏。
三度目の夏=三七日に行われる三度目の裁判。宋帝王によって「生前の不貞について」調べられる。「三人寄れば文殊の知恵」のことわざで有名な文殊菩薩に祈りを捧げる。
――斎藤君自体に生前の不貞はなかったようです。うちの猫がそう言ってました。
出典:斎藤一の閻魔帳「宋帝王の裁判記録」
――仲間の墓で誓いを立てる姿とてもエモいのに、一言余計ですよね。これは土方歳三が「狐」って言われた創作を吸ってる斎藤一に違いない。あと猫が溶けるところ、いつも怖いです。
出典:SNSホトケッター「文殊菩薩のつぶやき」
四度目の夏
慶応二年(1866)皆既月蝕。
新選組、不穏な空気。
四度目の夏=四七日に行われる四度目の裁判。五官王によって「生前嘘をついたか」調べられる。悟りの世界へ導いてくれる普賢菩薩に祈りを捧げる。
――嘘をつくには仕方がないことで、それが他人をどれだけ傷つけたかっていうと、誰も傷つけていませんでしたので、彼の罪は軽いと思いました。
出典:斎藤一の閻魔帳「五官王の裁判記録」
――五官王ちゃん以降の人達が、はじめちゃんに甘い裁きをしたから、何度も繰り返す世界になっちゃったんじゃないの?でもまぁ、この時そうじちゃんに昔のこといっぱい覚えてるよ~って言っちゃったら、きっとそうじちゃんの心が弱くなっちゃうとでも思ったのかも。でもそうじちゃんはそんなに弱くないよ!
出典:SNSホトケッター「普賢菩薩のつぶやき」
五度目の夏
慶応三年(1867)新選組、ついに幕臣になる。
新選組が到達した頂点。
五度目の夏=五七日に行われる五度目の裁判。閻魔王によって、生前の行いを平等に裁き、その行き先が決定する。地蔵菩薩が、人々の苦難を身代わりとなって、苦しみから救ってくれるとも言われている。
――うちの娘の大活躍、見ました?すごいでしょ?
出典:閻魔大王からのダイレクトメッセージ
……何度もこのキラキラした横顔を見たさ。………………何度もな。
出典:不明